(520)芸名 筆名
宝塚を見なかった自分ですが宝塚スターの名は覚えやすかった思い出があります。阪急電車の中吊り広告に必ず宝塚大劇場公演の告知が1枚入っていました。当然花形スターが大書されていますから名前ぐらいは覚えてしまいます。
私の学生時代はまだ春日野八千代さんが舞台を踏んでいました。といっても特別扱いの大物ですから、専科生として必要な時に「特別出演」という形で出演していました。今も在籍しているそうですがかなりの高齢のはず。後進の指導にウエイトがかかっていると思います。
当時宝塚生徒の芸名はすべて「小倉百人一首」から採られていました。その元歌探しをやったこともありましたが、今では生徒の名と共に紀元となった歌も忘れてしまいました。最近の宝塚スターの名を見ると百人一首を思い浮かばせる名はなくなりました。ネタ切れになったのでしょう。
81年3月、神戸で開催されたポートピア博開会式に参加すべく、私はその前夜からポートピアホテルに宿泊していました。ホテルはオープン間もない頃でしたが、時の皇太子夫妻を始め東山魁夷氏ら各界の重鎮も同宿していました。
そうした中に鳳蘭さんがいました。舞台を見ていなくても有名な彼女の顔と名はすぐわかります。ロビーで顔を合わせた時にすぐ彼女とわかりましたが、お互い全く知らない仲ですから話しかけることも出来ません。
エレベーターに乗ろうとすると彼女も乗り込んできました。何しろ一基のエレベーターが皇太子夫妻とその関係者の専用になっていますから、他のエレベータで同じ筺に乗り合わせるのは避けられません。
しかし同じ筺に乗り合わせてみて鳳蘭さんの大きさに圧倒されました。170㎝ぐらいの私はまるで小人です。世間では「功成した人は大きく見える」といいます。前に帝劇出演中の森繁久弥氏が近くのレストランに来られたのを見かけましたが、身長でなく人柄が大きく見えたのです。
鳳さんの場合はどういう意味にしろでかいのです。狭い筺の中ですからなにか気候だか見晴らしだかの話題で話しかけてこられましたが、あがってしまって満足な返答が出来なかったように覚えています。宝塚スターもこの頃から百人一首にとらわれない名前が多くなったように思います。
生まれた赤ん坊に名をつけるのと同様、芸名も昔はそれぞれ非常な気配りをしていました。あまり売れないと姓名判断などで改名をした人が少なくありません。そのうちにファンのほうがどれが本当の名か判らなくなったりして。この頃はあまり気を遣わないのか本名のままで出ている人も多いそうです。一方カタカナ名前が増えて年配者から見れば外人かと思いこんでしまう人もいます。
作家の使う筆名は昔の文豪名をもじったり、地名を組み込んだ名などさすが作家だと感心させられるものがあります。芸名、筆名にまつわる問題を研究してみるのも面白いかもしれません。
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