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(721)健忘症と認知症

 記憶力が年々低下しているように思えてなりません。今講演を頼まれれば、内容を克明に書いて壇に上がらねばならないでしょう。箇条書きのメモを持って1時間も話せたのは昔の話です。

 夢の中で見た状況を思い出し、メモに書き留めようと起き上がります。横から妻が「何事か」と話しかけてくるとその瞬間に頭の中は空っぽ。

 以前は買い物を頼まれれば殆どすべて頭に入りました。今ではとてもとても。番号を振って箇条書きにしたメモを渡されます。買い物中に携帯でいくつかの追加を。追加した中の一つや二つは忘れていることがあります。

 そもそも携帯に留守電が入ると、その再生操作法がわかりません。何度か経験していてもその間の間隔が空くとどのボタンをどうすればよいのかわからなくなるのです。

 機種をかえると操作法が違います。つい最近買い換えた機種は入電があれば、どのボタンを押すように指示してくれます。メーカーがこんなところに気づくほど、携帯の操作に困る老人が多いのでしょうね。

 昔は物忘れをするようになると健忘症にかかったかと他人から言われたものです。真剣に心配してくれている場合、からかっている場合、それはその場の雰囲気で当事者同士でわかりますから、その言葉で喧嘩になるようなことはまずありません。

 認知症というようになって、痴呆症と言わなくなりました。確かに痴呆症という言葉は差別的用語を感じさせます。しかし健忘症との区別がどこにあるかは難しいところです。それでも健忘症という言葉にはまだ明るい感じがします。

 ごく軽度の物忘れが健忘症に当たるのでしょうか。それが進行すると痴呆に発展するのか。

 いずれにしても老化現象の一つとして受け止めねばならない症状であることに間違いありません。元の健常態に戻りにくいとあればせいぜい健忘症時代を長く保っていたい、と思うようになりました。

 それにしても健忘症、痴呆症、アルツハイマーといろいろややこしい言葉が出てきたものです。

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