(817)危険球とヘボ野球
新型インフルエンザの対策に政府は大忙し。でも安全に関わることはどれだけガードを強めても強すぎることはありません。
最近の野球はアマのみならずプロでも体をガードする用具を身につけるようになりました。確かにキャッチャーがつけるマスクは昔からありましたが、顔を覆う金属棒が折れるような事故もあったそうです。粗雑な作りだったのでしょう。
球審やキャッチャーのプロテクターは我々世代でもお馴染みのものでした。それにしても最近の野球中継を見ていると肘当て、すね当て、ヘルメット……。さぞかし重いことだろうと思います。
かなり体力のあるものしか野球が出来ないような。それに比べれば戦後の野球道具が満足にない時代の野球はどんなものだったのでしょう。
戦後進駐軍の占領政策からか、野球はいち早く復活したスポーツです。中学野球、大学野球、職業野球と硬式野球が続々開催されるようになりました。しかし家が焼かれ疎開地から戻れない人の多い頃です。球場まで見に行くのは大変なことです。
私たちは布を丸めて作ったボールやテニスボールを使ってヘボ野球を始めました。テニスボールも本格的なものでなくゴムまりといった代物です。棒きれのバットを当てるとすぐパンクしてしまいます。布を丸めたボールの方が割れなくて好まれました。ただし当たっても飛びません。
小学校時代から中学時代にかけての友人がどうしたか、気になる人がいます。
疎開地で三角ベースをして遊んでいました。私がバッター、彼がキャッチャーをしていました。
ピッチャーの投げたボールに向かいバットを振ったところキャッチャーが倒れました。私のバットが彼の頭に当たったのです。まともなバットもなく、棒きれの角を削って丸くしたバットですが、頭に大きなこぶを作っています。
呆然として立ち尽くす私。彼の体を気遣っているのですが返事がありません。一緒に遊んでいた別の友人が一番近かった私の家に連絡し、彼を運び込んで医者に往診を依頼。
そういう時代のヘボ野球、野球道具さえ満足なものでありませんから防具なんて身につけていません。結局脳震盪ということでしばらくして意識を取り戻した彼は迎えに来た親の背に負われ帰宅しましたが、数日学校を休んでいました。
彼の父親は町長をしていたのであだ名は「町長さん」。その後全く彼の消息を聞かなくなりました。
それにしても球場の塀にはマットのような柔らかい素材を貼り付けたり、アメリカンフットボールほどではないにしてもいろんな防具を身につけたり。本来の動きも鈍くなりそうですが、怪我をしてからでは遅すぎます。
昨日のプロ野球でも打者の頭にボールを当て、危険球退場を命じられた投手がいました。意識して当てたのでないと思いますが、ヘルメットをつけていても倒れてしまう勢いがあるのですから、危険なことに変わりありません。
といってそれが理由で投手が萎縮してしまうのも困ります。
小さい子ども達はゴムまりに柔らかい素材で出来たバットをもって遊んでいますが、安全を追求すればこれが正しい野球ということになるのでしょうか。
スポーツと危険は切り離せない関係にあると感じます。
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